信長、秀吉……権力者たちの陰で、凄絶な死闘を展開する二人の忍者の生きざまを通して、かげろうの如き彼らの実像を活写した長編。第42回(昭和34年度下半期) 直木賞受賞.

産経新聞記者であった司馬遼太郎が1960年(昭和35年)前半期の直木賞(第42回)を受賞、作家活動の原点となった
受賞作である。盗賊石川五右衛門の釜茹で処刑の逸話をもとに、太閤秀吉の暗殺を狙う伊賀忍者葛籠重蔵と、伊賀を
裏切り秀吉に仕えて立身出世しようとする抜け忍風間五平、この2人の忍者の対決をサスペンスタッチで描いていく。そ
こに徳川家康、服部半蔵、今井宗久といった実在の人物たちも登場、虚構と史実を巧みに交えながらスケールの大きな
作品に仕上げている。昭和30年代に起こった忍者ブームの火付け役となった作品であり、その後の忍者・忍術をテーマ
としたフィクション作品に大きな影響を与えた傑作。(ts-dra-4568)

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